夜中にパンを焼く女

夜中に急に思い立ってパンを焼いた。パン作りは少なくとも私の中では誰かの為に作る料理的なものではないので「家庭的な」雰囲気を醸し出そうとやっきになっている風なんではない、パンは「突発的に」作りたくなるものなのだ。目的が美味しく食べる事ではなく、作る事であるからして分量やら行程やらが大幅に違う。それでもなんとなくそれらしきものが焼き上がって、それらしい味がする。オーブンから香ばしい匂いが食欲をそそる。愛飲しているコスタリカ産の豆を挽き、コーヒーを入れる。意外とイケる。食べながら、どんなものにも云えるのかもしれないけれど「ふつうはこうやる」はあっても「こうしないといけない」はないんだな、と思った。それからいろんな方向に考えが巡り、気がつくと明け方だった。パンをつくる、は本を読むのに等しいほどに頭をつかうのだな、とフィロソファー的な一日の終わり。

そして夜中にコーヒーは眠れなくなる、も学んだのだった。賢さが1Pあがった。